今回の出張の主目的は、インド工科大学デリー校における国際的なシンポジウムの開催です。 インド工科大学は、工学と科学技術を専門とする、インドの国立大学の総称です。 国家的な重要性を有した研究機関としても位置づけられています。 「デリー校」はその中でも、成績順位がかなり上の方にある、優秀な大学です。
近年では、グーグルCEO、サンダー・ピチャイ氏や、元ソフトバンク副社長、ニケシュ・アローラ氏のような、国際的なエリートたちを輩出しています。世界を舞台にしたIT界をけん引するような人材が育成されています。
第二次世界大戦後の1947年に独立したインドは、経済的発展を模索する上で、高度な教育が求められていました。製造業で活躍できるエンジニアの育成、新興企業の立ち上げ、雇用の促進は、重要課題でした。こうした課題に応えるため、政策的に設立された教育機関が、インド工科大学(IIT)です。
最初のIITは、1951年にカラグプルに創設され、次いで1958年にボンベイ(現ムンバイ)、1959年にマドラス(現チェンナイ)とカンプール 、1961年にデリー、1994年にグワーハーティー、2001年にはルールキーに次々と設立されました。
その中でも、IITハイデラバード校は、日本の外務省と国際協力機構(JICA)が中心となって支援して設立されました。人的交流や共同研究など、日本とのつながりが深い大学です。IITは2020年2月現在、合計23校を数え、将来的にはインドの全ての州に設置される予定です。
IITデリー校は、広大な敷地に、緑豊かな芝生や広場で、ゆったりとした開放感あふれるキャンパスです。売店の前では、犬が気持ちよさそうに寝ています(これは、デリーの至る所で見られる風景です)。米国の広いキャンパス、北京では清華大学と似た雰囲気です。
IIT各校の合格率は、1%前後、と言われています。キャンパス内で見かける学生たちも、頭が良さそうな顔つきをしています。日本の大学が国際的な競争力を失っていく昨今にあって、こうした大学の学生たちと交流することは、大きなメリットが有ると思います。インドには親日的でフレンドリーな学生が多いようですが、その視線は英米の大学に向いています。日本とインドの学生同士、素敵な交流が始まることを願います。